不動産売買で贈与税がかかるときがある
贈与税とは
贈与税(ぞうよぜい)というのは、相続以外で個人が金銭や不動産などの資産を、個人から受け取った場合に生じる税金のことです。1年間に110万円までは税金の対象にはならず、基礎控除が設定されています。これは、相続税を支払わずに、生前贈与で税を免れることがないように作られた法律です。不動産授受の場合にも贈与税がかかる場合があります。法人から受け取った場合や法人が受け取った場合は、贈与税の対象になりません。
不動産授受で贈与税がかかる場合は
贈与税が不動産売買でかかるというと驚かれる人も多いかもしれません。不動産売買で贈与税がかかる3つの場合を紹介します。
低価格での売買による譲渡
不動産をかなり安価な値段で売却した場合、実質の値段との格差を計算し、その差額が「贈与」されたというように見られます。そして、実質的な不動産価格と売却された価格との差額分に対して、贈与税が付加されます。贈与税は、「購買者」つまり不動産を受け取った「個人」に課せられる税金です。このようなことが起きるのは、だいたい親族間での不動産売買に起きがちなので、税務署も目を光らせています。
金銭の授受がないのに不動産の受け取りがあった
お金の授受が生じないのに、不動産の名義変更があった場合にも贈与税がかかります。たとえば、二世帯住宅に住んでいる場合、親世代が階段のないマンションに引っ越したり、施設に入ったりして、息子家族が家賃を払わず住み続けたとしても、税金の対象になりませんが、不動産登記簿の名義を変更した場合には、贈与税がかかります。贈与税を払わずに済ませるために、「相続時精算課税」という制度を使って不動産を子供名義にする方法があります。
また、不動産の場合は財産評価基本通達による評価額が贈与された金額として、贈与税が計算されますから、現金の贈与よりもはるかにお得と言えます。夫婦間での名義変更は、結婚して20年以上の場合に、2,000万円までの不動産に対して非課税になります。また、離婚した場合に、妻が一緒に住んでいた自宅に住み続けたいとして、自宅の名義を変更した場合には、贈与税は生じません。妻は「慰謝料」として受け取るので、贈与税はつかないのです。
借金が免除された
不動産を渡すことで、借金の免除が起きた場合にも贈与税がかかる場合があります。債務額、つまり借金をしていた額が不動産の評価額より低い場合に、不動産の評価額と債務額の差額に対して贈与税がかかります。ですから、もし借金が不動産評価額より低い場合には、適正価格を計算して、差額を債権者は債務者に返済しなくてはいけません。
不動産譲渡で贈与税がかからないようにする方法
鑑定評価額を取得し、鑑定評価額で取引する
不動産譲渡で、贈与税がかからないようにするには、適正価格で売却することです。税務署は、申告していなくても、登記簿謄本の移動などから不動産取引を常に見張っています。特に親族間や関連会社などとの取引などは、マークされています。税務調査で贈与税を課税されないためには、鑑定評価額を取得しておきましょう。
鑑定評価額は、不動産鑑定士に頼んで計算してもらえます。不動産会社の無料査定では、税務調査対策にはなりません。不動産鑑定士に評価してもらった価格は、市場価格より低い場合が多いので、親族間である程度購入しやすい価格に設定されます。その価格であれば、贈与税は回避されるので、安心して不動産を譲渡できます。
親子間であっても金銭授受の形跡は残す
親子間であっても、譲渡が生じた場合は金銭の授受が確実にあったという証拠を提出する必要があります。書類上は、授受があったように書かれていても、税務署はそのお金がどこから来たのか追求してきます。子供に不動産を買い取るために十分な資金がなければ、借金をするということが考えられますが、親子間の不動産譲渡の場合には、銀行からの融資を受けるのが難しいようです。
ほとんどの銀行では、親族の間での不動産譲渡の取引には、住宅ローンが組めません。その場合、親から借金をして購入という形になりますが、親子でもきちんと書類を残す必要があります。また、譲渡した場合に譲渡所得が生じたことになりますから、所得税が課税されます。贈与税を払ったほうが出費が少なくなる可能性もありますから、きちんと計算してから不動産の名義変更をしましょう。
とりあえず査定依頼してみよう