マンション売却のときの土地部分と建物部分の金額区分

マンションの売却には土地と建物を分ける

消費税課税の違い

マンションを土地ごと売却する場合には、土地部分と建物部分の金額を区分して算出しなければなりません。そのようにしなかったなら、売主と買主の間で問題が生じてしまうことがあります。マンションの土地部分の金額は消費税の課税対象外になっていて、マンションの建物部分の金額は、消費税の課税対象であるからです。

売主としては、取引した額のうち、建物部分の額の割合が少ないなら、課税対象になる消費税が少なくなるため、得するといえます。しかし買主にとっては、取引額のうちの建物部分の額が大きいなら、より多くの消費税額を支払ったことになります。このことは、のちに納税額分を控除に含めることができるようになるため、買主にとっては、建物部分の金額の比率が大きいほうが得になるのです。

建物部分の減価償却費

また、買主は、購入した中古マンションを資産として原価償却します。買主にとっては、購入した合計の金額のうち建物部分の額が大きいほど、減価償却費を大きくとることができるのです。そのようにして所得からの控除額を増やすことができ、節税することができます。

以上のような理由があり、マンション売却の際には、売主と買主の双方にとって、土地部分と建物部分の金額を分けて計算することはたいへん重要なことなのです。それぞれの金額の区分は、売主と買主が勝手に決めるというわけではありません。いくつかの一般的な計算方法に基づいて計算することになります。

土地と建物の金額を分ける算定方法

消費税額から計算する方法

売買の契約書に消費税額が記載されているなら、簡単に計算することができます。消費税がかかるのはマンションの建物の部分のみですから、建物部分の金額が算出でき、総額から建物部分の金額を引いた額が土地部分の金額ということになります。たとえば、総額が1,000万円で消費税額が64万円なら、64万円÷0.08%=800万円となり、建物部分は800万円、土地部分は1,000万円から800万円を差し引いた、200万円となります。

時価の比率で按分する方法

不動産鑑定士に依頼して、土地部分と建物部分の時価評価額を算定し、金額の比率で按分することができます。たとえば、マンションを売買した額が1,000万円で、土地部分の評価額が400万円、建物部分の評価額が1,200万円である場合を考えましょう。評価額の総額は1,600万円です。

土地部分は、400万円x1,000万円÷1,600万円=250万円となり、建物部分は、1,200万円x1,000万円÷1,600万円=750万円となります。土地と建物のどちらかを優先して算出し、もう一方は残りの額とする計算方法より、公平に計算することができます。ただし、不動産鑑定士へ鑑定を依頼する金額がかかってしまうというデメリットがあります。

固定資産税評価額で按分する方法

固定資産税をベースにして按分計算するという方法もあります。土地の評価額が100万円で建物の評価額が400万円であり、売買の総額が1,000万円であるケースの計算方法を例にします。固定資産税評価額の合計は、500万円ということになります。それで、土地部分の金額は、100万円x1,000万円÷500万円=200万円となり、建物部分の金額は、400万円x1,000万円÷500万円=800万円になります。

原価で按分する方法

原価で按分するという方法も一つの計算方法です。現在の建物を取得するにはどれぐらいかかるのかという原価を計算し、契約の総額から建物の減価を引いたものが土地部分の金額となります。建物を取得したときの価格から定額法によって減価償却の累計額を差し引いて、建物の再調達原価を算出することができます。価の計算は、マンションの構造や経年数によって異なります。算出方法は国税庁のホームページから確認することができます。

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