共有名義のマンションを売却するときに注意するべきこと

共有名義で売却手続きをすすめる

名義者全員の承諾が必要

所有するマンションの名義が単独ではなく、共有で誰かと一緒に保有している物件である場合は、売却の手続きをする際に共有している名義者全員の承諾が必要になります。そのときに、全員が売主となって不動産業者と仲介契約を結んだり、不動産の売却の契約の手続きをしたりしなければならず、たいへん煩雑な手続きになってしまいます。

マンションを売却するという手続きをすすめていく中でたくさんの書類が必要になりますが、共有マンションの場合では名義者全員分の書類がそれぞれ必要となり、かなりたいへんな思いをすることになります。名義者の方が手続きに来られないという場合は、その方の実印が捺された委任状に印鑑証明書を添えて提出することが必要となります。

その委任状には、売却しようとしている物件に関する正しい情報が記載されていなければなりません。登記簿謄本などの物件の情報を参照し、マンションの場所、面積、所有者名などの詳細を記載するようにしましょう。共有している物件でも、自分の持ち分だけを売却するということも理論上は可能です。しかし、購入者はほかの所有者たちとそのマンション物件を共有するだけということになりますから、現実的にはありえないことでしょう。

売却成立後に必要となる手続き

すべての共有名義者は、マンションを売却したらそれぞれの持ち分に応じた額を手に入れます。マンションを売却して得られた収入は、譲渡所得税として納めることになります。そして、確定申告をすべての名義人が行なうことになります。譲渡所得税は最大3,000万円の控除がありますが、これは実際に住んでいたという場合にのみ適用されます。多くの名義人がいる場合は、すべての名義人が実際に住んでいたわけではないでしょうから、控除が適用されず、多額の税金を納めなければならないということになる可能性もあります。

名義者全員の承諾が難しいケース

しかし、名義者全員が一致して共有のマンションを売却するのが難しいというケースも多くあります。
たとえば、共有名義者の誰かが売却に反対しているという場合です。金銭が理由ということであれば、名義を売り渡してもらうこともできます。しかし、反対している理由がそれ以外なら、裁判を起こすという方法で決着をつけることになり、なかなか売却がすすまないということにもなりかねません。

ほかにも、夫婦で共有していたマンションを離婚後に売却しようとする場合があります。離婚したふたりが協力し合って売却の手続きを行っていくというのは現実的ではないというケースも多いでしょう。すでに一方の側と連絡が取れなくなっているという事態も考えられます。

単独名義に変更して売却手続きをすすめる

所有者の名義を単独名義に変更する

共有名義のマンションの売却は手続きが複雑になりますから、売却することにしたら、まず名義を単独にして手続きをすすめることができるケースもあります。

共有者の行方が分からないケース

離婚を機に夫婦が共有しているマンションを売却するという場合で、一方の行方がわからないというケースなら、「不在者財産管理人制度」を活用して、裁判所に管理人を選定してもらい手続きを進めていくことができます。離婚の際に財産分与としてマンションを単独名義に変更しておくことは、とても実際的で節税になります。離婚後も共有名義にしてしまって、売却のために単独名義に変更するなら、贈与したとみなされて贈与税が課税されることになってしまいます。

相続するときに単独名義にしておく

相続の際にきょうだいが複数人いるなら、マンションを共有名義とする場合も考えられるかもしれません。しかし、売却する可能性が高いケースであれば、最初から、代表者ひとりの名前の名義にしておくことができます。換価分割といって、売却した金額が分配されるなら、便宜的に代表者を定めて手続きをすすめるということができるのです。

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