マンションの売却と火災保険料の関係
未経過分の火災保険料は戻ってくる
マンションの所有者であれば、火災保険には加入していることでしょう。もし、そのマンションの取得時に住宅ローンを利用していれば、まず間違いなく火災保険に加入しているはずです。この火災保険ですが、ローンを組む際に分割返済期間分を一括して支払っている可能性があります。
多くの人が利用している35年ローンであれば、35年分の保険料を支払い済みということです。35年分を前払いしているケースで、15年経過したときにマンションを売却することになったとすると、20年分もの保険料が払い過ぎになってしまいます。この未経過部分の保険料は、当たり前ですが解約によって返還されます。
もちろん、住宅ローンを組んでいないマンションや、短期の住宅ローンを完済したマンション、繰上げ返済したマンションなどで契約している火災保険であっても同様です。ちなみに、現在では新規加入可能な10年を超える火災保険はありませんので、35年ローンの場合、10年間の保険を繰り返すことで対応します。
火災保険の解約返戻金
この返還される保険料を解約返戻金(かいやくへんれいきん)と呼びます。火災保険の解約返戻金が実際にいくら戻ってくるかですが、これは返戻率によって計算されます。また、返戻の単位は1ヶ月です。
したがって、保険の残存期間が1ヶ月を切っている場合は解約返戻金がありません。このため、1ヶ月単位の返戻金を無駄にしないためには、急いで解約をした方がよさそうに思えるところです。しかし、火災保険の解約を急ぐと、思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。
火災保険を解約すべきときとは?
使っていないマンションでも火災は起きる
世の中には、誰も住んでいない住宅には火災保険など必要ないと考える人もいるようです。だからといって、売却を考えている段階のマンションの火災保険を解約してしまうのは危険な行為だといえます。火事の被害は、自分のマンションにおける居住の有無に関係なく発生する可能性があるものです。
また、火災保険で担保されている被害は火事の被害だけではありません。解約返戻金を減らさないために急いで解約したところ、近隣の火災で被害にあうなどということもあり得ないとはいえないでしょう。問題は、そのときに被害を負担するのは誰かということです。
引き渡すまでは売主の責任
マンションの売買を行なう場合、引渡しをもって物件の所有者としての危険負担が売主から買主に移るとされるのが通例です。つまり、引き渡すまでに生じた被害を負担するのは売主ということになります。
1ヶ月分の解約返戻金を確保するために、引渡し前に火災保険を解約し、事故が起こったときの被害額を考えれば、そのリスクの大きさがわかります。マンション一戸の損害となれば、火災保険料の解約返戻金どころの話ではありませんし、部分的な損害であっても大きな金額となるでしょう。
火災保険で売却価格をアップ?
もし、マンションに修繕しなければならない程度の瑕疵がある場合、火災保険を使って直せるケースがあります。売却前に火災保険を使ってこうした瑕疵を修繕しておけば、売却価格を高くすることが可能かもしれません。
火災保険は引渡しとともに失効する
売主側の火災保険は、マンションの引渡しによって効力がなくなります。引き渡した以上は当然のことです。したがって、買主側としては、このタイミングで保険が使えるように火災保険に加入する必要があります。この火災保険のバトンタッチに際して、引き渡すまで解約しないでおけば、大きなトラブルを防ぐことができるでしょう。
それなら、引渡し後もしばらくそのままにしておけばよいのかといえば、そうではありません。引き渡したことで売主の火災保険は失効します。つまり、マンションの売却で引渡しが終ったら、火災保険の解約手続きに着手するということです。
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