大規模修繕はマンションの売却額に悪影響を及ぼす可能性がある
大規模修繕とマンションの資産価値の意外な関係とは
マンションの資産価値を維持する上で、水回りの整備、防水処理、外壁塗装、エレベーターや機械式駐車場の建て替え、ドアや郵便受けの交換などの大規模修繕は必須です。マンションにもよりますが、目安として12年スパンで大規模修繕をすることが多いです。この大規模修繕がマンションの売却額に影響することがあるので注意しておきましょう。
修繕積立費が増額されるとマンション売却価格が下がってしまう
なぜ大規模修繕がマンションの売却額に影響するのでしょうか?毎月マンションの管理組合に収めている修繕積立費が足りていれば、大規模修繕も修繕積立費から賄われます。しかし大規模修繕によっては積立費が足りなくなり、修繕費用が増額されてしまうケースもあるのです。マンションの購入者は購入費用だけでなく、管理費に加えて修繕積立費も考慮に入れてマンションの購入を決めます。
いくら購入費用が安くても、修繕積立費が高ければ毎月の支払額は多くなってしまうからです。もし修繕費が大規模修繕によって上がってしまえば、実質的にマンションの売却価格も下げなければ売れなくなってしまいます。少しでも高くマンションを売却したければ、大規模修繕によって修繕積立費が上がる前に売ってしまった方がいいでしょう。
修繕積立費の増額予定を隠してはいけない
だからといって、大規模修繕が決まり修繕積立費が上がることが確定してからマンションを売却すると、重要事項説明において修繕積立費が増額されることを売却する相手に告知する義務が生じてしまいます。もし告知せずに売却してしまうと、最悪の場合損害賠償を請求されてしまい、慰謝料や裁判にかかった弁護士費用などを支払う羽目になりかねません。修繕積立費が増額されることを隠してマンションを売却してはいけません。
大規模修繕で積立費が増額されることを事前に察知するためには
修繕積立費が増額される大規模修繕の計画を見極める
修繕積立費が大規模修繕によって必ず上がるとは限りません。次回の大規模修繕時に修繕積立費の増額があるかどうか、早めに管理組合とコミュニケーションを取って情報を入手しておきましょう。
大規模修繕の代表例とは
大規模修繕は国土交通省が長期修繕計画様式例で、何年ごとにどのような修繕が発生するかを指針として定めています。特に修繕費の金額が大きく、大規模修繕後に積立費が増額される可能性が高いのは以下の項目です。
12年ごと
- 共用廊下の防水補修
- 外壁塗装や外壁タイル補修
- 屋上の防水補修
- ベランダ(バルコニー部)の防水補修
20年〜24年ごと
- 機械式駐車場の建て替え
- 屋上の防水修繕
- 集合郵便受け、宅配ロッカー、マンホール蓋などの交換
30年〜36年ごと
- エレベーターの全取り替え
- 給水管・排水管・ガス管・配電盤・自家発電設備・電話設備などの取り替え
- 玄関ドア・自動ドア・窓のサッシ、アミ戸、シャッターなどの交換
マンションの築年数が古いほど修繕積立費の増額の可能性は高まる
これらの項目が大規模修繕として1〜2年後に予定されている場合は、修繕積立費が増額される可能性は高くなります。特に金額が高くなるのは機械式駐車場の建て替えと、エレベーターの全取り替えです。マンションの入居率が常に100%近くあり修繕積立費に余裕があれば別ですが、エレベーターなどの可動機器を取り替えるとまず例外なく修繕積立費は高くなります。
重要事項説明の告知義務が発生する前に、マンション売却の準備にいち早く取り掛かりましょう。築年数が古ければ古いほど大規模修繕の頻度は増え、また規模も大きくなってしまいがちです。そのため修繕積立費は増額される可能性が高まります。
特に注意が必要なのは築年数が24年目に差し掛かった2度目の大規模修繕時です。 多くのマンションでこのタイミングで修繕費が足りなくなり、増額されている現状があります。現在所有しているマンションの築年数と、管理組合が管理している修繕積立費の残高を把握して、最低でも修繕積立費が増額される1年前にはマンションを売却してしまいましょう。
とりあえず査定依頼してみよう
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