離婚時のマンション名義変更。税金はどれくらい?誰が払うべき?
夫婦の財産を分かち合う方法は財産分与と慰謝料がある
離婚をするとそれまで夫婦二人の財産であったものをそれぞれに分かち合う必要があり、それには財産分与と慰謝料の二種類があります。
通常、財産を贈与する場合には贈与税という税金がかかりますが、離婚の財産分与の場合は元々二人の財産だったものを分かち合うだけなので贈与税はかかりません。
慰謝料も同様に贈与税の対象にはなりませんが、分かち合う財産がマンションの場合は贈与税のほかにもいくつかの税金があります。
不動産の名義変更には取得者が登記免許税を支払う
不動産の名義変更を行う場合には登記が必要で、このときに不動産の取得者(=財産をもらう側)は登録免許税という税金を支払う必要があります。
登録免許税の額は不動産の評価額の2%で、評価額は実際の取引価格ではなく都道府県が決めるもので、固定資産税評価額で確認することができます。
この他に離婚で登記が必要になるケースとして、登記名義人の姓や住所が変更になる場合は不動産1個につき1000円の登録免許税がかかります。
都道府県によっては不動産取得税が課税される
不動産を取得すると、取引の時点ではなく名義変更を登記簿によって把握した都道府県によって不動産取得税が課税されます。
登録免許税と同様に、固定資産税評価額を課税標準として計算し、税率は3%程度ですが住宅の場合は減免を受けられる場合もあります。
不動産取得税も登記費用同様に財産をもらった側が支払う費用ですが、合計すると評価額の5%程度となり、評価額が2000万円なら100万円と、決して小さくはない金額です。
財産を譲渡した側の税金とは?
財産を渡した側には所得税が課税される
一方で、財産を渡した側には譲渡所得の所得税が課税されます。
本来は現金で支払うべきものをマンションなどの財産で支払うことを代物弁済といいます。
確定申告が必要なので注意が必要
不動産を代物弁済する場合と、売却したお金を支払いに充てるときにかかる税金が異なると不公平になるため、代物弁済をする場合も売却したものとして確定申告が必要です。
マンションを売却すると、1月から12月までの1年間を会計期間として、翌年の3月15日までに確定申告と納税をします。
所得内容によって税率が変わる?
マンションなどの不動産売却の課税方法を分離課税の譲渡所得といって、給与や事業経営・賃貸収入などの所得は合算して高額所得者ほど税率が高くなる累進課税に対して、所有期間が5年を境に短期と長期で税率が異なるなど、所得の内容によって税率が決まる仕組みになっています。
代物弁済の場合、実際にお金を動かすわけではないので取引金額を決める必要がありますが、その時の価額は固定資産税評価額ではなく通常の取引価額とするのが原則です。
通常の取引価額とは、第三者との取引ではいくらになるかですが、不動産の場合、実際に取引をしないといくらになるかわかりにくいので、代用として路線価から計算する相続税評価額などを参考にします。
離婚した場合のマンションの所有権は?
譲渡所得税は利益に対しての課税
離婚でマンションの所有権を手放した側からすると、財産の権利を失った上に税金まで払ってダブルパンチですが、譲渡所得税は収入ではなく利益に対してかかるので、取引価額が買った値段を下回っている場合は税金はかかりません。
所得税の節税に効果的な方法
取引価額が買った値段を上回っている場合には、所得税の節税方法として居住用財産の3000万円特別控除や、夫婦間の居住用財産贈与の特例が効果的です。
居住用財産の3000万円控除とは、自分が住んでいた不動産を売却した場合に、売却益から3000万円を差し引くことができ、夫婦間の居住用財産贈与とは婚姻期間20年以上の夫婦が自宅を贈与する場合に2000万円までが非課税になります。
夫婦でいる間に必要な事
夫婦間の居住用財産贈与は、文字通り夫婦であることが前提なので夫婦でいる間にする必要があります。
ただし、離婚を考えるくらいに信頼関係が損なわれている状況で、節税のために離婚をする前に財産の所有権を移転することで条件が不利にならないかは慎重に判断が必要です。
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